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ボヤ騒動

私が生まれてはじめて海外旅行をしたのは、ヨーロッパのスペインだった。飛行機の窓からピレネー山脈を見たときの興奮たるや、今もわすれていない。

私は初めての海外旅行にむけ、今思うと必要のない物、”万が一使うかもしれない”という品々を色々持ち込んでいた。その一つがお湯沸かし機だった。

これはU型磁石のような格好をしていて、コップのふちにひっかけることで、中の水がぶくぶくと伝導の熱でわかせる、という代物だった。

セビリアのホテルで、私は一人だった。”外国のホテルって、映画で見るようだな~”

そこ室内でくつろぐ私は、コーヒーが飲みたくなった。そこで例のU型お湯沸し機をひっぱりだし、コップに水を入れて淵にひっかけた。”どうせ沸くまで時間がかかるのだろう”と、私はメイクを落としに洗面台へとむかった。

”あ~、早くコーヒーを飲みたいな~”

と、洗面所のドアを開けると、なんと部屋中が白い煙で充満しているではないか!

”きゃー!!”見ると、あのU型マシーンがコップからコロリと転がって落ち、そのまま白い机の表面を燃やしていた。”あぎゃ~、火災報知器がなったらどうしよう!!!”私はもう慌てふためき窓をあけ、ベッドの上にあった毛布でバッサバッサと煙を外にだそうとした。

幸い、警報機は鳴らなかった。でも・・・・・白木の机の表面は、無残に黒くやけこげていた。”うっ、うっ、どうしたらいいの。こんな誰もしらない国で。訴えられちゃうのかな?逮捕されちゃうのかな?”とにかく気が動転していた私。

でも、人間どたんばになると、火事場のバカ力ではないが、”なんとかせねば!”という知恵が働くものだ。私はなんと、この旅に「白い修正ペン」を持参していた。

私は椅子にこしかけ、2時間かけて白い机の表面にできた、黒い焼けコゲ部分をひたすら修正ペンで塗り続けた。”ふ~、我ながら素晴らしい!”

翌日ドキドキしながらチェックアウトした。その後も今に至るまで、スペインからは何の連絡もこないところをみると、まあ、なんとかなったのだろう。

でも、まさか”万が一使うかもしれない”という品を、本当に使うことになるとは、思ってもみなかった。