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車の免許とヘルメットおじさん

ある日、父が私に言った。「おまえは、一生教習所に行ってるつもりか!!!」さすがに、春がすぎ、夏になり、秋になっても車の免許をとるために、教習所に通う娘に苛立ちがかくせなくなったようだ。

最終的に私が免許を取るまでにかかったのは10ヶ月。もちろん頻繁に通っていたのに、だ。当然受講印を押す紙は足りなくなり、どんどん予備紙がセロテープでつながっていった。もはや教官も事務の人も、近所のおじさん、おばさんのように顔見知りになっていた。

車の免許は仮免許がとれてから、残り半年で本免許を取得しなければならない。私はその期限が残り一週間に迫った段階で、最後の路上テストをなんとかパスさせていただいた、という感じだった。

教官は私がようやく免許をとったというのに、「あんた、いつか新聞にのっちゃうかもね(事故をおこしてという意味)」という不吉なお祝いの言葉?を私にくれた。事務のおばちゃんは私の手をにぎり「よかったわねー、ようやく取れて。本当に時間もお金もかかったわね~」と言っておくりだしてくれた。

でも、私はむっとするどころか、10ヶ月かかってようやく免許がとれた感動で、どんな言葉もお祝いの言葉にしか聞こえないような状態だった。

自宅にもどり、まず何をしたか。それはもちろん初乗りだ。私はノロノロと駐車場をでて、とにかく自分が迷子になっても自宅に戻れるであろう道を車で進んだ。

教習所の周辺とちがい、知っている場所を歩くでもなく、自転車でもなく、車で走っていることにいたく感動した。”なんか、自分が数段大人になったような気分だ”

・・・・・ところが、ガックン!ガックン!よりによって、交差点を右折しようとしたど真ん中で車はエンストした。しばらくは前の車も、左右の車も見守ってくれていたが、相変わらず、ガックン!ガックン!エンストしまくっている私に、四方八方からクラクションががなりだした。

うえ~ん!!!焦れば焦るほど、私はエンストの嵐となり、車はガンとして動かない。”初乗りには、誰か助手席に乗せればよかった・・・” 相変わらず交差点の真ん中に留まっている私の前に、突如そばで道路工事をしていた黄色いヘルメットのおじちゃんが現れて、なんと交通整理をはじめてくれた。”あー、今この場に私の味方が一人いる” そう思ったら心にゆとりができ、ようやく車を動かせることができた。私はノロノロと右折した。

”ありがとう~、ヘルメットのおじちゃん!”世の中には本当に心ある人がいるものだ。私はさっきまで真っ青になっていた自分を忘れ、心が春の陽だまりのようになりながら、再び初乗りを楽しんだのだった。